東映の8・15シリーズ「日本海大作戦」二日目です。
■ 旅順

こちら、旅順の陸軍第三軍。
後にいう旅順要塞攻囲戦が行われています。
6月8日に大連に到着した第三軍は前進を開始し、
6月26日までに旅順外延部まで進出してきていました。

乃木希典将軍を演じるのは笠智衆。
6月26日までに旅順外延部まで進出してきていました。

乃木希典将軍を演じるのは笠智衆。
こんなに色んな意味でぴったりハマる俳優はいないんじゃないか、
というくらいわたしはこのキャスティングを評価しているのですが、
意外と笠智衆が乃木将軍を演じたのはこの映画だけだったようです。
乃木将軍殉死の6年後、1918年に製作された映画
「乃木将軍」で乃木を演じた山本嘉一があまりにもハマり役として、
戦前までは乃木役をこの人がほとんど全て独占し、戦後は
林寛という役者が「乃木俳優」として役を独占していました。

旅順包囲戦は難航します。
というくらいわたしはこのキャスティングを評価しているのですが、
意外と笠智衆が乃木将軍を演じたのはこの映画だけだったようです。
乃木将軍殉死の6年後、1918年に製作された映画
「乃木将軍」で乃木を演じた山本嘉一があまりにもハマり役として、
戦前までは乃木役をこの人がほとんど全て独占し、戦後は
林寛という役者が「乃木俳優」として役を独占していました。

旅順包囲戦は難航します。
乃木は正攻法であくまでも攻略をしようとしていましたが、
補給の点でも、新兵器の機関銃の点でも作戦は遅々として捗らず、
陸軍内はもちろん、国内から乃木の責任を問う声が噴出しました。

国民は長引く旅順港略に非難の声を上げ、例によって乃木邸に投石、
面と向かって民衆が痛罵を浴びせる、脅迫状が毎日送りつけられる、
という、上村大将と同じようなことがここでも起こるのです。
その頃、海軍には、バルチック艦隊が出航したらしい、
という諜報による知らせが届きました。
という諜報による知らせが届きました。

海軍は旅順攻略を支援する陸戦重砲隊を送ることを決定します。

8月10日、聯合艦隊第一戦隊(東郷指揮)は旅順から出撃します。
第一戦隊は敵前で一斉回頭して洋上に誘い込もうとしますが、
ロシアの旅順艦隊は連合艦隊の攻撃に応じず逃げようとしました。

撮影はほとんどが記念艦「三笠」で行われたそうです。
この黄海海戦は、日本側の勝利と記録されました。
「三笠」は激しい攻撃で被弾し、乗り組んでいた皇族軍人、
伏見宮博恭王(当時少佐)は砲塔の爆発で負傷もしています。
勝ったとはいえ、この時、聯合艦隊は敵艦隊を
「逃してしまった」という結果になりましたが、この時の経験が
後の日本海海戦において役に立つことになります。(ナレーション談)

旅順では白襷隊と言われる突撃を敢行するにあたり、
乃木大将が兵とともに皇居遥拝を行いました。
乃木の左は伊地知幸介参謀長、そして津野田是重参謀(平田昭彦)です。
この特別予備隊は、部下からの意見具申を受け、乃木が決定したもので、
計5師団、総員3,113名から成る決死隊でした。
乃木大将が兵とともに皇居遥拝を行いました。
乃木の左は伊地知幸介参謀長、そして津野田是重参謀(平田昭彦)です。
この特別予備隊は、部下からの意見具申を受け、乃木が決定したもので、
計5師団、総員3,113名から成る決死隊でした。
ちなみに、「ゴールデンカムイ」では、主人公が
この白襷隊に所属していたという設定となっています。

この白襷隊に所属していたという設定となっています。

乃木は一人の一等卒の前でふと足を止め、言葉をかけます。
この前山一等兵(黒沢年男)は、自分が任務に参加して戦死すれば、
故郷の家族は働き手を失うが、兵卒は金を送ることができないので、
それが心残りだ、ということを訴えました。

乃木は、前山一等兵から金を預かり、家族に届ける、と約束します。
この前山一等兵(黒沢年男)は、自分が任務に参加して戦死すれば、
故郷の家族は働き手を失うが、兵卒は金を送ることができないので、
それが心残りだ、ということを訴えました。

乃木は、前山一等兵から金を預かり、家族に届ける、と約束します。

白襷隊は夜襲を行いますが、地雷によって多くが斃れ、
また味方を識別するためにつけていた白襷が、
ロシア軍の探照灯照射によって反射し、目立って攻撃され、多くの損害
(戦死・行方不明者580名、戦勝者806名)を受けて敗退しました。
このシーンのBGMは、日露戦争の遼東半島における戦闘を描いた、
「ここはお国を何百里」の出だしで名高い「戦友」(コーラス)です。

進まない旅順攻略に、ついに御前会議でも乃木更迭案が出ました。
しかし、これに反対したのは明治天皇その人でした。
「陛下、それほどまでに乃木をご信頼でございますか」
と、山縣有朋(三津田健)。

無言のまま頷く陛下。

しかし、これに反対したのは明治天皇その人でした。
「陛下、それほどまでに乃木をご信頼でございますか」
と、山縣有朋(三津田健)。

無言のまま頷く陛下。

その乃木は前線にあって敵弾を避ける風もなく、部下の山岡熊二参謀に
「敵は閣下の白ズボンを狙ってきます!」
と塹壕に引きずり下ろされたりしていました。
「敵は閣下の白ズボンを狙ってきます!」
と塹壕に引きずり下ろされたりしていました。
山岡熊二は、この後軍使としてステッセルへの投降書を渡した人で、
戦闘中、頭上で爆発した敵砲弾のかけらを左目に受けて失明しています。

そこに、津野田参謀が、東郷司令長官の戦地への来訪を告げました。

「乃木さん・・・ご子息が二人とも戦死されたと聞きましたが」

「はい、二人ともお役に立ってくれたのかなと思っております」
第一次師団にいた乃木の次男は旅順の第三次攻撃で戦死していました。
乃木はこの時、
「よく戦死してくれた。これで世間に申し訳が立つ」
といったそうですが、その通りで、乃木宅に投石までしていた民衆は、
このニュース以降途端に乃木に同情的になり、非難もいつしか止みました。
乃木は、旅順の攻略が遅れていることを東郷に詫び、
東郷は前線を視察させてくれるように頼みます。

乃木はこの時、
「よく戦死してくれた。これで世間に申し訳が立つ」
といったそうですが、その通りで、乃木宅に投石までしていた民衆は、
このニュース以降途端に乃木に同情的になり、非難もいつしか止みました。
乃木は、旅順の攻略が遅れていることを東郷に詫び、
東郷は前線を視察させてくれるように頼みます。

前線に立ったとき、乃木が東郷が持っている双眼鏡に目を止め、
「東郷さん、それはドイツのツアイスのものだと聞いていますが」
「はい、よく見えますよ。どうぞ」
「東郷さん、それはドイツのツアイスのものだと聞いていますが」
「はい、よく見えますよ。どうぞ」
と覗かせてもらう微笑ましいシーンがあります。

「乃木さん、ご心労はお察しするが、お国のためです。頼みます」
「はい。そのお言葉に、乃木は、やれます。はい。必ず、やります」
あー、この二人のシーンがすごくいいんだ。
胸がキューンと締め付けられそう。
残された写真(イギリス王戴冠式に列席した時の艦上の二人)
を見る限り、実際の乃木東郷の体型ってこの二人そのまんまなんですよね。
(それにしても、乃木を過小評価し、旅順攻略ですら乃木の功績ではなく
児玉源太郎の手柄だと言い張った司馬遼太郎と、その原作に基づいて
まるで痴呆老人のような乃木を柄本明に演じさせたNHKは決して許さん)

旅順から帰京する「三笠」には、戦闘の痕跡が刻まれていました。
「三笠」艦長伊地知彦次郎(田島義文)大佐は、
「これが我が方の用いる下瀬火薬だったら船は沈んでいました」
さらに伊地知艦長は、
「我が国に下瀬博士という人がいて・・」
から蘊蓄を語り出すのですが、その名前くらい東郷は知ってたと思うぞ。
あー、この二人のシーンがすごくいいんだ。
胸がキューンと締め付けられそう。
残された写真(イギリス王戴冠式に列席した時の艦上の二人)
を見る限り、実際の乃木東郷の体型ってこの二人そのまんまなんですよね。
(それにしても、乃木を過小評価し、旅順攻略ですら乃木の功績ではなく
児玉源太郎の手柄だと言い張った司馬遼太郎と、その原作に基づいて
まるで痴呆老人のような乃木を柄本明に演じさせたNHKは決して許さん)

旅順から帰京する「三笠」には、戦闘の痕跡が刻まれていました。
「三笠」艦長伊地知彦次郎(田島義文)大佐は、
「これが我が方の用いる下瀬火薬だったら船は沈んでいました」
さらに伊地知艦長は、
「我が国に下瀬博士という人がいて・・」
から蘊蓄を語り出すのですが、その名前くらい東郷は知ってたと思うぞ。

東郷が「天佑神助」という言葉尻を捉えて艦長に逆蘊蓄をかましていると、
それに割って入ってきたのは島村速雄参謀長(稲葉義男)でした。
「リバウ港ではネボガトフを司令官とする第三艦隊を編成中だそうです」
「どこから知らせてきた」
■ 明石元二郎大佐

「どこから知らせてきた」
■ 明石元二郎大佐

ここはストックホルムの日本帝国公使館。
陸軍の明石元二郎大佐が、栗野真一郎公使(小泉博)が何やら密会中。
陸軍の明石元二郎大佐が、栗野真一郎公使(小泉博)が何やら密会中。

栗野は駐フランス公使としてヨーロッパにいましたが、
1901年から桂太郎の説得で駐ロシア公使となっていました。

ちなみにハーバード留学時代の栗野(右)。
左は同時期MITに留学していた団琢磨(團伊玖磨の祖父)。
明石元二郎は、中立国であるここスウェーデンのストックホルムを本拠地に
ヨーロッパ駐在参謀という臨時職について諜報活動をしていました。
ヨーロッパでこの二人が出会ったのは史実であり、
加えていえば二人はどちらも福岡出身の同郷で同じ修猷館出身でした。
明石がヨーロッパで行っていたのは、ロシア支配下にある国、
そしてロシア国内の反政府勢力と連絡をとって、
ロシアを内側から揺さぶるという工作活動でもあったのです。

本作における明石大佐は、黒髪に美髯を蓄え、
いかにも仕立ての良さそうなスーツに身を包んで黒猫を愛でる、
実に妖しく艶かしい「美中年」のように描かれているのですが、
「猫が好き」「スパイ」「諜報将校」
という巷間伝わる本人の情報の片鱗から、よくもまあ、いうてなんだが
こう、実物と似ても似つかないキャラを仕立てたものだと思います。

左は同時期MITに留学していた団琢磨(團伊玖磨の祖父)。
明石元二郎は、中立国であるここスウェーデンのストックホルムを本拠地に
ヨーロッパ駐在参謀という臨時職について諜報活動をしていました。
ヨーロッパでこの二人が出会ったのは史実であり、
加えていえば二人はどちらも福岡出身の同郷で同じ修猷館出身でした。
明石がヨーロッパで行っていたのは、ロシア支配下にある国、
そしてロシア国内の反政府勢力と連絡をとって、
ロシアを内側から揺さぶるという工作活動でもあったのです。

本作における明石大佐は、黒髪に美髯を蓄え、
いかにも仕立ての良さそうなスーツに身を包んで黒猫を愛でる、
実に妖しく艶かしい「美中年」のように描かれているのですが、
「猫が好き」「スパイ」「諜報将校」
という巷間伝わる本人の情報の片鱗から、よくもまあ、いうてなんだが
こう、実物と似ても似つかないキャラを仕立てたものだと思います。

明石元二郎陸軍大佐は、福岡藩士の次男として生まれ、
陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学を卒業し、
フランス公使館付陸軍武官に任命されたのは1901年、36歳の頃です。
年齢で言えば映画の仲代達矢も撮影時36歳とほぼ同じだったのですが、
同じなのは年齢だけで、伝わるエピソードは仲代とは程遠いものばかり。
陸軍幼年学校、陸軍士官学校、陸軍大学を卒業し、
フランス公使館付陸軍武官に任命されたのは1901年、36歳の頃です。
年齢で言えば映画の仲代達矢も撮影時36歳とほぼ同じだったのですが、
同じなのは年齢だけで、伝わるエピソードは仲代とは程遠いものばかり。
いずれもwikiからですが、列記します。
晩年までほとんど歯を磨く習慣がなかった
服装について無頓着であり、陸軍士官学校時代、制服のズボンをずらし、
へそを出しながらズボンの裾を引きずって歩いていた
整理整頓にも無頓着で、台湾総督時、官邸を一切掃除させず、
身辺が荒れ放題だった
製図の授業時間、鼻水を垂らし、それを拭った手で作業を行うので、
製図は鼻水の汚れで真っ黒だった
製図は鼻水の汚れで真っ黒だった
陸軍幼年学校時代、お稲荷様にお供えされた赤飯の盗み食い常習犯であり、
また夜中にボートに乗って転覆させたりなど悪戯を繰り返していた
陸大時代は下宿に猫を一匹飼っており、
軍服に猫の毛が付いたまま講義に出席していた
また夜中にボートに乗って転覆させたりなど悪戯を繰り返していた
陸大時代は下宿に猫を一匹飼っており、
軍服に猫の毛が付いたまま講義に出席していた
山縣有朋と対談した時、小便を垂れ流していることに気がつかず喋り続け、
山縣は小便を気にしながらも熱意に絆されて対談を続けた
山縣は小便を気にしながらも熱意に絆されて対談を続けた
協調性に欠けていて風采が上がらず、また運動音痴であった
ヨーロッパ赴任中、泥靴のまま公使館に入り、そのまま平気な顔をしていた
日露戦争後高官となった後も、薄汚い布団で犬を抱きながら寝ていた
ロシアでの偽名は、アバズレーエフであった
いやー、歯を磨かないってのはかなりやばかったんじゃないか。
周りに迷惑かけるし、55歳と若死だったのも、これが一因だと思うの。
栗野公使も、最初から仲代みたいなのが来ていたら、おそらく、
お、これはできる人に違いない、と思ったと思うのだけど、
実際は見るからに風采の上がらない、清潔感のない人ですからね。
明石大佐、語学と数字に堪能、ものすごく切れる人物だったのですが、
栗野は当初これが見抜けず、開戦の直前に、外務省に
「(あんなのでなく)優秀な間諜が欲しい」と要請を出していたそうです。
周りに迷惑かけるし、55歳と若死だったのも、これが一因だと思うの。
栗野公使も、最初から仲代みたいなのが来ていたら、おそらく、
お、これはできる人に違いない、と思ったと思うのだけど、
実際は見るからに風采の上がらない、清潔感のない人ですからね。
明石大佐、語学と数字に堪能、ものすごく切れる人物だったのですが、
栗野は当初これが見抜けず、開戦の直前に、外務省に
「(あんなのでなく)優秀な間諜が欲しい」と要請を出していたそうです。
実は明石が優秀なスパイであったことを証明するエピソードの一つとして、
「あるパーティの席でドイツとロシアの士官がおり、ドイツの士官が明石に
フランス語で『貴官はドイツ語ができますか』と聞いてきたが、明石は、
『フランス語がやっとです』と、わざと下手なフランス語で答えた。
すると、そのドイツの士官は、明石を無視して、
ドイツ語でロシアの士官と重要な機密について話し始めた。
明石はドイツ語は完璧に理解しており、その機密をすべて聞いていた」
というものがあります。
スパイの資質として最も重要な語学については、
フランス語、ロシア語、英語も完璧に理解していました。
人物としては周りに好かれ、人の話題にされる人気者?だったそうです。
すると、そのドイツの士官は、明石を無視して、
ドイツ語でロシアの士官と重要な機密について話し始めた。
明石はドイツ語は完璧に理解しており、その機密をすべて聞いていた」
というものがあります。
スパイの資質として最も重要な語学については、
フランス語、ロシア語、英語も完璧に理解していました。
人物としては周りに好かれ、人の話題にされる人気者?だったそうです。

そして猫好き


日英同盟のおかげでスエズ運河を通れない状態のバルチック艦隊が、
どこを通って日本海にやってくるかの予想を話しあっていた二人ですが、
時計をチラリと見た明石は、抱いていた黒猫を栗野に渡し、
「時間です。もし私が帰ってこなかったらこいつを頼みます」
猫「にゃ〜」
栗野「ええ・・・」(困惑)
どこを通って日本海にやってくるかの予想を話しあっていた二人ですが、
時計をチラリと見た明石は、抱いていた黒猫を栗野に渡し、
「時間です。もし私が帰ってこなかったらこいつを頼みます」
猫「にゃ〜」
栗野「ええ・・・」(困惑)

人目を憚りながら待っていた一台の馬車に乗り込む明石。


アパートの一室で落ち合ったのは、
フィンランド過激反抗党のコンニー・シリヤクスでした。
(映画ではロシア過激党となっているがこれは間違い)
壁には「ロシアをやっつけてくれる明治天皇」の写真が貼られています。
そしてその横は、自身のロシアからの追放の知らせだというのですが、
フィンランド過激反抗党のコンニー・シリヤクスでした。
(映画ではロシア過激党となっているがこれは間違い)
壁には「ロシアをやっつけてくれる明治天皇」の写真が貼られています。
そしてその横は、自身のロシアからの追放の知らせだというのですが、
これは、シリヤクスがロシア人だという制作の勘違いから来ています。
普通にシリヤクスなんてロシア人の名前は変だと思う。

シリヤクスはロシア軍の情報を明石に伝え、
明石は情報代として彼らに革命資金を与えるという関係です。
普通にシリヤクスなんてロシア人の名前は変だと思う。

シリヤクスはロシア軍の情報を明石に伝え、
明石は情報代として彼らに革命資金を与えるという関係です。
ちなみに司馬遼太郎情報ですが、この二人は大変仲が良かったそうです。

さらにシリヤクスは、贅沢な愛妻のために金を欲しがっている
ロシア海軍の将校を連れてきて、バルチック艦隊の情報を売らせました。
どんな奥さんだ。
っていうかそんなことのために国を売るのかロシア人将校。

ロシア海軍の将校を連れてきて、バルチック艦隊の情報を売らせました。
どんな奥さんだ。
っていうかそんなことのために国を売るのかロシア人将校。

バルチック艦隊が日本までやって来ることは確実になりました。
日本としては、どこでどのように艦隊を補足するかがこれからの課題ですが、
東郷は天皇陛下に、あらゆる情報を駆使する、と力強く宣言します。

「陛下、バルチック艦隊は必ず撃滅いたします」

日本としては、どこでどのように艦隊を補足するかがこれからの課題ですが、
東郷は天皇陛下に、あらゆる情報を駆使する、と力強く宣言します。

「陛下、バルチック艦隊は必ず撃滅いたします」

旅順では総攻撃が始まっていました。

この戦闘シーンは大変迫力のあるもので、さすが超大作です。

この戦闘シーンは大変迫力のあるもので、さすが超大作です。

海軍は、逃げ帰った?旅順艦隊が一望できる二百三高地の攻略を
陸軍に要請し、乃木司令はこれを受けて攻撃目標をここに定めました。
激戦の末、12月5日、二百三高地の占領を達成。

二百三高地から臨む旅順港

この足場の悪い中、全力で駆け上がって行ったエキストラを褒めてあげたい。

国民は提灯行列で旅順陥落を祝いました。

ついでに、当時女性に流行った髪型「二百三高地」
しかし、これで戦争が終わったわけではありません。

ここパリでは、明石大佐がレーニンが言ったという
「旅順陥落はロシア帝国主義の没落を早める進歩的なものだ」
という言葉に大いにウケていました。
「旅順陥落はロシア帝国主義の没落を早める進歩的なものだ」
という言葉に大いにウケていました。
そして、金もないのに濫費家で、欲しいものがあったら我慢できず、
母親に頼んで買ってもらうというレーニンのマザコン話も披露しています。
レーニン、そんなんでよく社会主義国家とか言えたな。

明石はここにもちゃんと黒猫を連れてきています。
この相手が誰かは明かされないのですが、反ロシア勢力の党員でしょう。
「フィンランドにある小銃五万丁を買うお金は日本政府が立替えます」
明石大佐はこういった工作資金を全て政府から受け取っていましたが、
未使用分はきっちりと返還するという、金銭に清廉な人物でもありました。

「フィンランドにある小銃五万丁を買うお金は日本政府が立替えます」
明石大佐はこういった工作資金を全て政府から受け取っていましたが、
未使用分はきっちりと返還するという、金銭に清廉な人物でもありました。

「ロシアの憲兵がパリにも入り込んでいるらしいが、
あなたは尾行されてないでしょうね」
「大丈夫!ワタシ、絶対大丈夫」
しかし・・・

彼が階段を降りて行った直後に銃声が!
「きゃあああ!」
うーん・・大丈夫じゃなかったですね。

部屋に駆け込んできた二人のロシア人憲兵の見たものは、
開いた窓と、フーッと唸る猫でした。(猫演技うますぎ)
あなたは尾行されてないでしょうね」
「大丈夫!ワタシ、絶対大丈夫」
しかし・・・

彼が階段を降りて行った直後に銃声が!
「きゃあああ!」
うーん・・大丈夫じゃなかったですね。

部屋に駆け込んできた二人のロシア人憲兵の見たものは、
開いた窓と、フーッと唸る猫でした。(猫演技うますぎ)
憲兵二人は慌てて窓の外を覗き「窓から逃げたぞ!!」
いやここ3階か4階なんすけど。
っていうか、銃声の直後なんだからもうちょっと周りを確認しろよ。
憲兵は外に走り出て行きました。

あわてんぼの憲兵たちが去った後、悠々とバスルームから姿を現し、
悠然と猫を抱いて去っていく明石大佐でした。

いやここ3階か4階なんすけど。
っていうか、銃声の直後なんだからもうちょっと周りを確認しろよ。
憲兵は外に走り出て行きました。

あわてんぼの憲兵たちが去った後、悠々とバスルームから姿を現し、
悠然と猫を抱いて去っていく明石大佐でした。

こちら東京の東郷平八郎邸。
九鬼隆一枢密院顧問官が訪ねてきて、バルチック艦隊について
明石大佐の情報をどう見ているかと問います。
「バルチック艦隊は太平洋を回り宗谷海峡を通って
ウラジオストックに回るということですが」
「バルチック艦隊が宗谷海峡に来るとは思えません」
九鬼隆一枢密院顧問官が訪ねてきて、バルチック艦隊について
明石大佐の情報をどう見ているかと問います。
「バルチック艦隊は太平洋を回り宗谷海峡を通って
ウラジオストックに回るということですが」
「バルチック艦隊が宗谷海峡に来るとは思えません」
東郷の想像では、長い航海で船底に牡蠣が付いて船足が遅くなっているし、
燃料の問題もあるので、艦隊は遠回りすることなく、
対馬海峡を通過するのではないか、ということだったようです。

燃料の問題もあるので、艦隊は遠回りすることなく、
対馬海峡を通過するのではないか、ということだったようです。

東郷は妻てつ(草笛光子)と連れ立って、買い物に出かけました。
ここは目の見えない女性がほそぼそと営んでいる駄菓子屋です。
お金は客が金入れに入れ、商品をもらっていくという商いをしていました。
世間話風に、てつが彼女に農家の娘から便りがあったか尋ねると、
彼女は、兵隊さんの缶詰にするために牛を取られてしまったと答えます。
そしてその娘の夫は陸軍で出征中。
その時、東郷が後ろから不意に口を挟みます。
「お婆さん、ご焼香させてもらっていいかね」

ここは目の見えない女性がほそぼそと営んでいる駄菓子屋です。
お金は客が金入れに入れ、商品をもらっていくという商いをしていました。
世間話風に、てつが彼女に農家の娘から便りがあったか尋ねると、
彼女は、兵隊さんの缶詰にするために牛を取られてしまったと答えます。
そしてその娘の夫は陸軍で出征中。
その時、東郷が後ろから不意に口を挟みます。
「お婆さん、ご焼香させてもらっていいかね」

彼女の後ろの真新しい位牌には「故海軍一等水兵」と書かれ、
水兵服の青年の写真の前に花が生けられていました。
老婆は夫人に、無邪気にこう言います。
「ねえ奥さん、東郷さんはまた”おおいくさ”をするそうだねえ」
「ええ・・いよいよロシアの大艦隊が来るそうですからね」
「すると、また息子のように死ぬ水兵さんがたくさんできますねえ」
「・・・・・」
水兵服の青年の写真の前に花が生けられていました。
老婆は夫人に、無邪気にこう言います。
「ねえ奥さん、東郷さんはまた”おおいくさ”をするそうだねえ」
「ええ・・いよいよロシアの大艦隊が来るそうですからね」
「すると、また息子のように死ぬ水兵さんがたくさんできますねえ」
「・・・・・」
焼香を終えた東郷が横を通ると、老婆は頭を下げ、夫人に向かって
「ねえ奥さん」
「今息子にお焼香してくださった方は、どんな人かね」

「ねえ奥さん」
「今息子にお焼香してくださった方は、どんな人かね」

「そうですね・・もう相当なお年寄りのようでしたよ。
おばあさんに何か言いたかったらしいけど、言えなかったんですよ。
・・・・胸が詰まって」
「・・そうかね」
老婆の言葉に目を伏せる東郷でした。
続く。
・・・・胸が詰まって」
「・・そうかね」
老婆の言葉に目を伏せる東郷でした。
続く。